06 · 日本のワインづくり
醸造に表れる造り手の個性
栽培条件が土台をつくり、醸造と熟成には選択の余地があります。甲州では、その多様性がよく分かります。メルシャンはシュール・リー製法の導入を1983年、初販売を1984年と記録しています。アルコール発酵後もワインを澱とともに置く方法です。一方、グリ・ド・グリでは果皮と種子を含めて発酵させます。澱との熟成と醸し発酵は異なる方法で、ワインに与える特徴も異なります。
木樽の使用も意図的な選択です。登美の丘の甲州2015の醸造報告では、タンクと樽のロットを分けています。樽発酵では、木の香りがブドウを覆わないように新樽を使っていません。その後、それぞれ発酵・熟成させたロットを、完成するワインにどう組み合わせるかも説明しています。異なる造り方を一つのスタイルに結び付ける例です。
伝統的な瓶内二次発酵も選択肢の一つです。グレイスはブラン・ド・ブラン2017について、シャルドネを使用し、使用済みのフレンチオーク樽で発酵させ、瓶内二次発酵の後、瓶内で84か月熟成したと記しています。富士山ワイナリーは、2013年の収穫から甲州を伝統的製法のスパークリングワインに使っていると説明しています。異なる品種と造り方を示す例であり、冷涼や湿潤な気候なら必然的にスパークリングワインになるということではありません。
日本ワインを知るには、ふたつの問いを並べてみてください。今年、畑は何を求めたのか。そして造り手は、どんなワインにしたかったのか。その選択の間に産地が具体的に表れ、ひとつの香りやスタイルだけでは語れないことがわかります。
| 製法 | 注目したいポイント |
|---|---|
| シュール・リー | 発酵後の澱との接触。香りに加え、口当たりにも注目してみてください。 |
| 果皮との接触 | 果皮を果汁や発酵中のワインに接触させます。期間や方法は、それぞれのワイナリーの説明をご確認ください。 |
| 木材 | 樽で発酵したのか、樽で熟成したのか。新樽か、使用済みの樽か。こうした情報が、味わいを読み解く手がかりになります。 |
| 伝統的な瓶内二次発酵 | 瓶の中で行う二次発酵。品種と熟成期間によって、さまざまな表情が生まれます。 |
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